そして、ベイズの定理・推定(条件付確率)を用いたIPO(新規公開株)の失敗確率(アノマリー)の算出を目指すために。
◎日立マクセル(6810) 単元株数:100株 東証1部 電気機器
電池や記録メディアを手掛ける日立製作所の持ち分法適用会社。エネルギー、産業用部材、電器製品の3分野を手掛ける。エネルギー分野ではリチウムイオン電池が主力。産業用部材では磁気テープや粘着テープ、電器製品ではDVDやプロジェクターを手掛ける。車載用電池や住生活分野の粘着テープなど新分野での拡大を目指す。2010/3/29に株式会社日立製作所の完全子会社となり、東京証券取引所市場第一部において上場廃止。4年ぶりの再上場。
2014/3/18上場 公開価格 2,070円 に対して、初値 1,971円 −4.8%の公開価格割れが発生。
(悪条件:リチウムイオン電池、磁気テープ、DVD、プロジェクター、車載用電池)
ブックビルディング時に判明していた オファリングレシオ と アノマリーは次のとおり。
オファリングレシオ:(公募株+売出株)/ 本件公募含む発行済株式総数)20%±5%が適正レンジか。以降、ORと表記。
日立マクセル(6810)のオファリングレシオ(OA含む)は、72.7%。
30%以上を異常値とすると、明らかに高い異常値。市場で消化できない可能性が大きいか。
(悪条件:OR30%以上)

アノマリーから推定できる条件は、ジャパンディズプレイ(6740)と全く同様なので、検証過程は省略。
(悪条件:電気機器、リチウムイオン電池、温度センサー、BtoB(企業間取引)事業)
問題になるのは、 再上場 が悪条件となりうるのかである。
2000年以降で、再上場を果たした主な企業は次のとおり。
2013/12/19再上場 足利HD(7167):東証1部:OR22.0% 公:420円 初:451円 +7.3%の勝ち
銀行業
2012/9/19再上場 日本航空(9201):東証1部:OR100% 公:3,790円 初:3,810円 +0.5%の勝ち
航空運送事業など
2012/12/14再上場 チムニー(3178):東証2部:OR59.7% 公:1,000円 初:945円 −5.5%の負け
居酒屋を中心とした飲食店の運営およびフランチャイズチェーン展開
2007/8/9再上場 キトー(6409):東証1部:OR46.6% 公:400,000円 初:326,000円 −18.5%の負け
巻き上げ機およびクレーン等の製造、販売
2007/2/28再上場 永大産業(7822):東証2部:OR12.0% 公:520円 初:500円 −3.9%の負け
住宅用の木質建材および設備機器の製造販売
2006/11/14再上場 あおぞら銀行(8304):東証1部:OR43.5% 公:570円 初:495円 −13.2%の負け
銀行業
2005/9/21再上場 京樽(8187):ジャスダック:OR20.4% 公:120,000円 初:150,000円 +25%の勝ち
すしを中心とした食品の製造および販売
2004/11/25再上場 かわでん(6648):ジャスダック:OR27.2% 公:190,000円 初:198,000円 +4.2%の勝ち
ビル及び工場、産業施設、大型マンション向けの高低圧配電盤、自動 制御盤等の配電制御設備の製造・販売
2004/7/30再上場 マックスバリュ東海(8198):東証2部:OR25.7% 公:2,800円 初:3,170円 +13.2%の勝ち
食料品スーパー「ヤオハン」及び「マックスバリュ」の経営
2003/12/19再上場 トーカロ(3433):東証2部:OR36.8% 公:2,000円 初:2,300円 +15.0%の勝ち
表面処理加工および機械加工ならびにそれら加工品の製造・販売
単純に集計すると 6勝4敗。勝率0.600。2010年以降は、2勝1敗。勝率0.666。
ただし、日立マクセルの公開価格割れを受けて、再上場 は、2010年以降、2勝2敗。勝率500に。
日本航空の勝ちが僅差だったことを踏まえると、再上場 は、悪条件 に転じた可能性も。
故に、2014/4/23再上場 西部ホールディングス(9024)は、注意が必要か。
今回のまとめは、次のとおり。
※悪条件
OR30%以上、電気機器、リチウムイオン電池、BtoB(企業間取引)事業、磁気テープ、DVD、プロジェクター、車載用電池
日立マクセル(6810)は、 電気機器・OR30%以上・BtoB(企業間取引)事業、リチウムイオン電池 の悪条件が揃う。
かなりの高確率で公開価格割れが発生することが予測できたか。そして、現実に公開価格割れが発生。
それにしても、電気機器・OR30%以上・BtoB(企業間取引)事業 の悪条件ぶりは驚異。
2014/4/8上場予定 トレックスセミコンダクター(6616)のORは、34.6%。
さすがに、日立マクセル、ジャパンディズプレイのORを下回るものの、
電気機器・OR30%以上・BtoB(企業間取引)事業・半導体 の悪条件が揃う。
この悪条件を跳ね返すだけの、良条件が隠れているか注目したいところ。
現在は、2013年から続く絶好調なIPO相場が続く。
しかし、悪条件が揃えば、公開価格割れは出現する。今後も十分に気をつけたいところか。
次回は、ウィルグループ(6089) で検証予定。
投資行動の最終決定は、自己判断・自己責任で願います。当方はいかなる責任も一切負いませんのでご了承ください。
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