予想どおり、850億ドルの債権購入を継続していく方針を維持。9月以降のFOMCで、量的金融緩和の縮小に着手するかどうかについてのヒントは無し。
声明文で注目される点は、景気判断が「緩やか(moderate)」な回復から、「「控えめ(modest)」な回復へと、若干の下方修正されたことか。
これは、当方の先行指数上でも、5/31週〜6/7週に成長指数が天井を打ち、その後もまずまずの数値であるものの、漸減傾向であることと一致。
そして、懸念されたインフレ率にもついに言及。
「インフレ率が長期にわたり目標の2%を下回れば経済にリスクとなり得ると認識」という回りくどい表現だが、今後は、量的金融緩和を維持するために、堂々とインフレ目標2%を口実にするとのことか。
例え、景気が改善したとしても、とてつもない経済指標の改善でも無い限り、量的金融緩和の継続をチラつかせて、なにがなんでも、長期金利安、ドル安、株高を維持していく腹づもりなのだろう。
では、なぜ、このような形での量的金融緩和の継続が悪手なのか?
それは、例え実体経済の悪化を示す経済指標が出ても、市場は、FRBが金融緩和の量を増やして対応するはずと判断して株価が調整しないからである。それが積み重なり実体経済と株価の乖離が大きくなってゆく。株価が高い割には労働市場の回復が今ひとつなのも、このあたりが原因か。実体経済に対して遙かに高い株価。一見すると好ましく感じるが、支えているのは、なんの経済的な実態を伴なっていないFRBが供給する紙幣のみ。恐怖である。
さらに、悪いのは、経済構造そのものが、量的金融緩和の継続を前提にしたものに再構築されつつあることか。危機対応の非常手段のはずが平時の常套手段に・・・完全に麻薬である。麻薬が切れたときの禁断症状が怖くて、患者(市場)も医者(FRB)も麻薬を手放せない・・・恐怖の無限ループが完成しようとしているか。
もっと悪いのは、本当の危機が到来したときの対応手段を著しく狭めることか。すでに麻薬漬けなので、さらに強い麻薬が必要となるが、そうそうあるモノではない。医者(FRB)が出す麻薬が効かない・・・患者(市場)はパニック必至か。行き着く先は暴落だけということも。
さて、先行指数から伺える今後の米国経済の状況とFOMCの経済政策だが、
8月下旬までは、良い経済指標結果が続くと見込まれる。次回FOMC(9/17〜9/18)に向けて、金融緩和縮小観測が台頭し、1ドル100円台への円安もあるか。ただし、米国経済成長は8月下旬から失速か。9月のFOMCでは経済成長の下ぶれリスクとインフレ目標2%未達を理由に、緩和縮小を見送りか。一気に円高が進行する場面もあるか。その後、10月下旬にかけて米国経済成長は失速を続けると見込まれ、10月のFOMCでも緩和縮小を見送りか。11月〜12月の先行指数は出そろってないので、詳細は不明だが、どうやら年内の金融緩和縮小は無理かもしれない。
投資行動の最終決定は、自己判断・自己責任で願います。当方はいかなる責任も一切負いませんのでご了承ください。
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